AMH検査とは何か What is AMH testing?
AMHは「抗ミュラー管ホルモン(Anti-Müllerian Hormone)」の略で、卵巣の中にある発育途中の卵胞(前胞状卵胞・小胞状卵胞)から分泌されるホルモンです。血液中のAMH濃度を測ることで、卵巣に残っている卵胞の数(卵巣予備能)を間接的に推測することができます。
採血で測定でき、月経周期によって大きく変動しないため、いつでも検査が可能なのが特徴です。検査結果は通常 ng/mL という単位で表されます。
ここがポイント
AMHは「これから排卵に向かおうとしている卵胞の数」をおおまかに反映します。あくまで推測値であり、卵子の質や妊娠そのものを保証する指標ではありません。
AMH値でわかること・わからないこと What AMH can and cannot tell us
わかること
- 卵巣に残っている卵胞の量のおおまかな目安(卵巣予備能)
- 体外受精などで卵巣を刺激したときの反応のしやすさ
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の傾向(高値で参考所見になる)
わからないこと
- 卵子の質(受精・着床に向く卵子かどうか)
- その人が妊娠できるかどうか
- 「あと何年妊娠できるか」「閉経までの年数」
注意したい誤解
AMH値が高ければ妊娠しやすい、低ければ妊娠できない——という単純な関係にはなりません。AMHが低くても自然妊娠する方は多くいらっしゃいますし、高くても他の要因で妊娠が難しいケースもあります。
年齢別 AMH 基準値の目安 Age-based reference values
AMH値は年齢とともに少しずつ低下していくのが一般的です。以下は日本産科婦人科学会の資料および国内検査機関の集計値をもとにした、年齢別の中央値(参考値)の目安です。検査機関や測定方法によって基準値はやや異なるため、必ず受けた施設の基準と照らして読み取ってください。
| 年齢 | AMH 中央値の目安(ng/mL) | 参考レンジの目安(ng/mL) |
|---|---|---|
| 25〜29歳 | 3.7 | 1.7 〜 7.4 |
| 30〜34歳 | 3.0 | 1.3 〜 6.5 |
| 35〜39歳 | 2.0 | 0.7 〜 4.7 |
| 40〜42歳 | 1.1 | 0.3 〜 3.1 |
| 43〜45歳 | 0.5 | 0.1 〜 1.8 |
| 46歳以上 | 0.3 未満 | 0 〜 1.0 |
※ 出典: 日本産科婦人科学会「ARTオンライン登録」関連集計、ベックマン・コールター社AMH測定キット添付文書をもとに当院作成。施設・測定キットにより基準値は異なります。
基準値の読み方の注意
表の値はあくまで集団の中央値であり、個人差が大きいホルモンです。基準値より低い/高いという理由だけで、ご自身の妊娠可能性を判断するものではありません。結果の解釈は必ず担当の医師とご一緒に行ってください。
「卵巣年齢」という言葉のとらえ方 Understanding "ovarian age"
AMH検査の結果について、「卵巣年齢が◯歳」と一言で表現されることがあります。これは医学的に厳密な用語ではなく、AMH値を年齢別の中央値表に照らしてわかりやすく伝えるための便宜的な言い方です。
たとえばAMH値が35〜39歳の中央値に近ければ「卵巣年齢は30代後半相当」と表現されることがありますが、これは卵巣そのものの「老化年齢」を測っているわけではありません。
気にしすぎないために
「卵巣年齢が実年齢より高い」と告げられて落ち込まれる方もいらっしゃいますが、AMHは妊娠可能性を断定する数字ではありません。卵巣予備能のひとつの参考にすぎず、これからの選択を考えるうえでの“情報のひとつ”として受けとめていただくのが大切です。
結果の見方や、これからの選択について不安があるときは、医師との対話の時間が役に立ちます。
AMH 値が低い/高いとき When AMH is low or high
AMH が低めのとき
AMH値が同年代の中央値より低めの場合、卵巣に残っている卵胞の数が少ない可能性が考えられます。ただし、これは「妊娠できない」という意味ではありません。
- 自然妊娠を希望する場合は、タイミング・パートナーの精液所見・他のホルモンも合わせて評価
- 体外受精を視野に入れる場合は、卵巣刺激のプランを慎重に立てる
- 結果に動揺された場合、再検査や他の検査で総合的に判断する選択肢もある
AMH が高めのとき
同年代の中央値より高い場合、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の傾向が含まれることがあります。AMH高値そのものは病気ではありませんが、月経不順や排卵障害の有無を含めて医師が総合的に判断します。
AMH検査の流れ・費用・タイミング How to take the AMH test
受けるタイミング
AMHは月経周期による変動が小さいため、生理周期のどの時期でも採血可能です。妊活開始前のチェックや、不妊治療のプランを考えるときの参考検査として用いられます。
検査の流れ
- 外来受診・問診(妊活状況・月経歴を確認)
- 採血(数mL、生理周期の制限なし)
- 外注検査機関での測定(おおむね1〜2週間で結果)
- 結果説明・必要に応じて他の検査と組み合わせて評価
費用について
AMH検査は、不妊治療の保険診療の一環として行われる場合と、自費検査として受ける場合があります。最新の費用は診療内容により変動するため、当院では受診時にご案内いたします。
操レディスホスピタル/ルイかのう院での受け方 AMH testing at our clinics
操レディスホスピタル本院、および分院のルイかのう院では、AMH検査をふくむ妊娠前ヘルスチェック・不妊治療のご相談をお受けしています。「結果の数字だけ」をお伝えするのではなく、これからのライフプランに合わせた読み方を、医師と一緒にゆっくり整理する時間を大切にしています。
ご不安な気持ちのまま検査を受けるのではなく、「何を知るための検査か」をご納得いただいてからお進みいただけるよう努めています。