採卵当日の全体スケジュール Timeline on oocyte retrieval day
採卵当日は、来院から帰宅まで一般的に3〜4時間程度かかります。個人差や採卵数・処置の状況によって変わるため、あくまで目安としてとらえてください。麻酔を使用する場合は、回復の時間が加わります。
来院後、受付・問診・同意書の確認を行います。血圧・体温の測定、尿検査がある場合もあります。
来院〜約20分最終的なホルモン値の確認と身体状況の評価を行います。麻酔の内容・アレルギー歴の最終チェックも含まれます。
約10〜15分検査着に着替え、処置室(採卵室)へ移動します。点滴ルートを確保し、麻酔の準備を行います。
約10〜20分超音波ガイド下で経膣的に採卵を行います。採卵数や個人差にもよりますが、処置自体は通常10〜20分程度です。培養室と連携して即座に卵子の状態を確認します。
約10〜20分処置後は回復室でしばらく安静を保ちます。静脈麻酔を使用した場合は、意識が完全に戻り、ふらつきが落ち着くまでお休みいただきます。
約60〜90分(麻酔使用時)採卵数や当日の状況について医師よりご説明します。帰宅後の注意事項を確認し、次回の来院日程を調整してからお帰りいただきます。
約20〜30分所要時間の個人差について
採卵数が多い場合や、処置中に状況が変わった場合は時間が延びることがあります。また、麻酔の効き具合や覚醒のスピードにも個人差があります。当日は余裕のあるスケジュールを確保してください。
来院前の準備 Before you arrive
絶飲食の指示を必ず守ってください
静脈麻酔を使用する場合、麻酔中の嘔吐を防ぐため、来院前の時間から絶飲食が必要です。具体的な絶飲食の開始時間は医師・看護師から個別に指示されます。指示された時間以降は、水・お茶を含む飲食を一切行わないようにしてください。
局所麻酔または無麻酔での採卵を予定している場合は絶飲食が不要なこともありますが、必ず事前に確認を行ってください。
服装・持ち物
- 服装はゆったりとしたもの、脱ぎ着しやすいもの(タイトスカートやビジネス服は避ける)
- ネックレス・ピアスなどのアクセサリーは自宅で外してくる
- マニキュア・ジェルネイルは爪の色で血中酸素を確認するため落としておく
- コンタクトレンズは処置前に外す(眼鏡持参を推奨)
- お薬手帳、保険証、診察券
- ご夫婦で採卵・精液採取を同日に行う場合は、パートナーの持ち物も事前に確認
付き添い・交通手段
静脈麻酔を使用する場合、当日の自動車・バイク・自転車の運転は禁止です。公共交通機関またはご家族の送迎をご利用ください。可能であれば、ご家族に付き添っていただくと安心です。ひとりでお越しになる場合は、タクシーを手配できるよう準備しておくことをお勧めします。
痛みと麻酔について Pain management and anesthesia
採卵の「痛み」は、多くの方が最も不安に感じることのひとつです。採卵は経膣超音波ガイド下で採卵針を使って行う処置のため、何らかの不快感や圧迫感が生じる場合があります。ただし、使用する麻酔の種類によって体感は大きく変わります。
麻酔の選択肢
静脈麻酔(全身麻酔に近い方法)
点滴から麻酔薬を投与し、処置中ほとんど意識のない状態で行います。痛みや不快感を感じにくく、処置後に「気がついたら終わっていた」とおっしゃる方が多い方法です。採卵数が多い場合や、痛みへの不安が強い方には適した選択です。回復に時間がかかるため、当日の運転は不可です。
局所麻酔(膣内への麻酔)
採卵針を刺す部位に麻酔薬を注射します。意識は保たれたまま処置を受け、回復時間が短くて済むのが特徴です。静脈麻酔より覚醒時の副作用が少ない反面、処置中に圧迫感や軽い痛みを感じる方もいます。
麻酔なし(採卵数が少ない場合など)
採卵数が1〜2個程度で処置が短時間で終わる見込みの場合、または身体状況を考慮して麻酔なしで行うこともあります。どの方法を選択するかは、卵巣刺激の状況・採卵数の予測・患者さんのご希望・全身状態を医師が総合的に判断した上でご提案します。
当院の方針:痛みへの配慮
操レディスホスピタルでは、採卵処置にあたり患者さんの不安や痛みへの配慮を大切にしています。麻酔の選択については採卵当日ではなく事前の診察時に十分な説明を行い、ご希望と医学的な状況を合わせて最善の方法を一緒に決めていきます。不安な点は遠慮なくご相談ください。
採卵中の流れ During the procedure
採卵処置は超音波ガイドを使いながら、経膣的に行います。卵巣に発育した卵胞に採卵針を刺し、卵胞液ごと卵子を吸引・回収します。培養士が隣接する培養室ですぐに卵子を確認するため、採卵と確認がほぼ同時並行で進みます。
採卵当日の精液提供について
体外受精では採卵当日にパートナーの精液も必要です。院内での採取またはご自宅での採取(施設ルールによって異なる)について、事前に確認・準備しておいてください。採卵と受精のタイミングを合わせるため、パートナーの協力が重要です。
採卵の流れについて、もっと詳しく知りたい方は診察時にご質問ください。体外受精全体の流れは体外受精のページもあわせてご覧いただけます。
帰宅後の注意点 After you return home
採卵後は卵巣に針を刺した処置であるため、帰宅後も身体への注意が必要です。以下の注意点を参考にしてください。なお、処置後に医師・スタッフから個別の指示がある場合はそちらを優先してください。
当日の過ごし方
- 帰宅後は横になり、ゆっくり休む(激しい運動・重い荷物は避ける)
- 入浴はシャワー程度にとどめる(長時間の入浴・サウナは避ける)
- 飲酒・喫煙は控える
- 麻酔の影響が残っている場合は特に、転倒・ふらつきに注意する
- 処方された薬(黄体補充薬など)は指示通りに服用する
よくある症状と対応
採卵後に下腹部の鈍痛や少量の出血・おりものが見られることがあります。これは卵胞に針を刺した後の一般的な反応であり、多くは1〜2日で落ち着きます。処置後は一定の不快感が続くことを想定して、翌日以降も無理のない生活を心がけてください。
OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の兆候に注意
排卵誘発剤で卵巣を刺激した後、卵巣が過度に反応してむくみや腹水が生じる状態を卵巣過剰刺激症候群(OHSS)といいます。採卵後数日以内に症状が出ることが多く、特に採卵数が多かった方や若い方、PCOSの傾向がある方では注意が必要です。
受診が必要な症状 When to seek medical attention
以下のような症状があらわれた場合は、当院に連絡してください。症状の程度や経緯を医師が確認し、受診が必要かを案内します。夜間・休日でも、当院の緊急連絡先までご連絡ください。
以下の症状がある場合は当院にご連絡ください
- 腹部の強い痛みや、痛みが増している
- 腹部が著しく張っている・ふくれている感じがする
- 尿の量が極端に減った(1日500mL以下が目安)
- 体重が急激に増えている(2〜3日で2kg以上)
- 吐き気・嘔吐が続いている
- 息が苦しい・呼吸が浅くなる感じがある
- 出血量が生理の多い日を超えている・増えている
- 高熱が出ている(38℃以上)
緊急の場合の対応
症状が急激に悪化する場合や、腹痛・呼吸困難が強い場合は、救急車を呼ぶことも選択肢に入れてください。当院の診療時間外でも、夜間・休日の連絡先を事前に必ず確認しておいてください。
翌日以降のスケジュール Next steps after retrieval
採卵翌日には、培養士から受精結果の連絡があります。受精した卵(受精卵)がどのように育っているかを、培養室で毎日観察します。胚の発育状況によって、移植のスケジュールが決まっていきます。
受精確認から移植への流れ
- 採卵翌日:受精確認。受精した卵を確認します(媒精・顕微授精の結果)
- 採卵3〜6日目:胚の発育を継続観察。胚盤胞まで育てる場合は採卵5〜6日目が目安
- 凍結保存または新鮮胚移植:身体の回復状況・卵巣の状態・胚の数・治療方針に応じて選択
- 凍結胚移植の場合:次の周期以降に移植周期を調整して移植
採卵数・受精数・胚の成長速度には個人差があります。「受精できなかった」「思ったより数が少なかった」という場面が生じることもありますが、その場合も次のステップについて医師が丁寧にご説明します。体外受精全体の流れについては体外受精のページもご参照ください。また、費用面については不妊治療FAQページでも確認できます。
当院の2024年度採卵実績
操レディスホスピタルでは、2024年度に533件の採卵を行いました。移植数は523件、妊娠件数は244件、臨床妊娠率は46%(子宮内に胎嚢を確認した割合)となっています(出典:当院培養室実績)。治療の進め方・結果は個人差があり、この数字はあくまで当院全体の集計です。